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Step well, India
Step well, India

Step well, India

Step well, India

階段井戸(インド)

水資源の乏しい地域に広く分布し、元来井戸として作られたが、王宮の避暑地 / 神聖な場所(命の源) / 神々に祈りを捧げる沐浴場(宗教性) / 権威の象徴 / として装飾など凝ったものがある。

「階段井戸」とは、英語では「step well」と訳され、その通り水面まで通じる階段が設置された井戸を指します。
インドの平野部に広く分布していますが、特に水資源の乏しい西インドの乾燥地帯、グジャラート州やラジャスタン州のものは大規模なものが多く残っており有名です。中でもグジャラート州は総数130基を超える井戸が発見されており、どれだけ井戸が重要視されていたかがわかります。

階段井戸は主に雨季の雨を貯める人工的な溜池ですが、地下の水源にアクセスするために作られているものもあります。日が差さない地下の構造物であること、また岩にしみ込んだ水の気化熱で気温が下がることにより、階段井戸の奥部では地上より6~7度程度も気温が下がります。そのため、階段井戸は夏の間の王宮、避暑地としても利用されていました。

実際に巨大な階段井戸を見ると、井戸というにはあまりにも壮麗な姿だと感じられます。もともとは純粋に水利用のために作られた井戸ですが、さきほど述べたように夏の間の王宮として利用されたのに加え、階段井戸が宗教性を伴うものとして発展したことも大きく関係します。これは、命の源である水を扱う場所である井戸が神聖視され、神々に捧げる寺院として豪奢な彫刻が施されたためです。宗教性を持った階段井戸は、神々に祈りを捧げる沐浴場としても利用されていました。

また巨大な井戸は、為政者の権威を示すものでもありました。より大きく、より壮麗な階段井戸はその製作者である王や国の力を示すものとなり、各地で巨大な階段井戸が建設されました。そういった意味でも、寺院や王宮と共通しています。

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Chand Baori

「インド最大の階段井戸」チャンド・バオリ

 

Rani ki vav

世界遺産 ラニ・キ・ヴァヴ – 女王の階段井戸

ラニ・キ・ヴァヴは階段井戸は寺院としての側面も持っています。最深部のヴィシュヌ像は、春分と秋分の日にのみ太陽の光が差し込むようになっている。その名の通り女王によって建設されている。ビーマ1世(在位1022年~1064年)の死後、遺された王妃ウダヤマティとその子カルナによって、王を偲んで建設されました。

グジャラート州では水と結びついた女神信仰が盛んであったため、このラニ・キ・ヴァヴ以外にも王族や貴族の女性が建設した階段井戸が多く残っています。

 

Adaraj Vav

「最も美しい階段井戸」アダラジ・キ・ヴァヴ

アダラジ・ヴァヴの最大の特徴は、イスラム教様式の草花文様を基本としながら、ヒンドゥー教・ジャイナ教様式の動物像や人物像が同時に混在している点です。

建設の話
当時の王ヴァイ・シンは水不足のために井戸の建設中殺され、王妃ルダは深く悲しみサティ(ヒンドゥー教伝統の風習、未亡人が夫の後を追って自死すること)を望んだが、占領者であるモハメド・ベグムに結婚を申し込まれる。ルダは井戸を完成させることを条件に受け入れるが、完成後に聖者が清めた井戸で沐浴し、自ら命を絶ったのだった。

アダラジ・ヴァヴは別名「ルダの階段井戸」とも呼ばれ、井戸の最深部にはその建設の概要と共に、ルダ王妃の美しさがサンスクリット語で碑文につづられています。

 

Agrasen ki Baori

アグラーセン・キ・バオリ

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